一路網走へ、                                  2005年7月16日(土)

 念願だったハマナスの自生地への旅に出かけることにしました。目的地は「小清水原生花園」と白糠町の「恋問海岸」です。網走近辺はサロマ湖、能取湖などにハマナスを始め海辺の野草の宝庫でスポットも数多いのですが、同じものを繰り返し見ることになるかもしれないので今回はパスすることにしました。その代わりといっちゃなんですが、世界遺産になった知床には目もくれず、釧路湿原に寄っていくことにしました。帰りは帯広経由、紫竹ガーデンに寄って帰ろうという計画です。
 16日(土)の午後から出発、この日はとりあえず網走まで行くことが目標です。眠気覚ましドリンクの助けを借りながら石北峠を越え温根湯温泉の道の駅(右写真)でひとやすみ。すぐ脇の畑に花菖蒲がたくさん植えられていました。もう大分日が影ってきています。それにしても、眠気覚ましドリンクがよく効きました。普通は一時間もしないうちにマブタの上下が仲良くなるのですが、この日はしゃっきり気持ちよく運転できました。
 網走には午後6時頃に到着、予約のホテルはすぐに見つかりました。おおよそ4時間のドライブでした。

 小清水原生花園                                2005年7月17日(日)
 翌朝、なんと4時に目が覚めてしまいました。また寝る気にもなれなかったので起きていることにしました。朝焼けが綺麗だったのでホテルの窓からパチリ。
 その後シャワーをしたりいろいろ時間を潰しましたが、朝食まではまだ時間があるので、1回ロビーにあるパソコンコーナーで本日の予定コースをチェック。周辺地図を調べていたら斜里町の海岸に以久科原生花園というところを発見。ここなら今回のコースからちょっと外れるだけで移動にあまり時間を取らなくて済みそうです。それと期待したのは立ち入りの管理があまりきつくなさそうだという感触だったこともあります。
 朝食を済ませて、いざ出発です。まずは小清水へ!
海に沿った道を走り、最初に見えてきたのがこのエゾキスゲの群生です。道ばたにパーキングエリアがあり道路際から撮影することはできましたが、もちろん中にはいることはできません。
 原生花園駅に到着、これでも立派な釧網線の駅なのです。ただし、5月から10月までの期間限定の臨時駅です。駅舎の中はスタンプや写真などが飾られほとんど駅の役割は果たしていません。
 ここから原生花園に入る道が出ています。するとこんな風景が広がっています(下写真)・・・・あれれ、花がほとんどない!ハマナスもほとんど咲いてない!よく見ると草ぼうぼうの中に隠れるように何か咲いています。何が咲いていたかはこのページの下で紹介します。
ハマナスはびっしりとあるのですが花の姿はありません。散策路を進むと海岸に出ます。 一面の草原にエゾスカシユリが咲いていました。
 以久科原生花園                                2005年7月17日(日)
 早々に小清水を離れ、斜里町を経由して以久科原生花園へ向かいました。入り口付近の小さな駐車場に車を止めて中に入ります。注意書きの看板が倒れています。小清水に比べるとほとんど放置状態のように見えました。道らしきところがあるのはこの入り口だけで、中はけものみちのような人の歩いた後があるだけです。おかげで植物達の間近で撮影することができました。
 小清水よりは花が多い気がします。ハマナスもやっと開いた花を見つけました。
 花園から浜につながる所は砂の崖のようになっていて、崩れている様子がわかります。ここも草が生い茂ってせっかくのハマナスや浜辺の花達を隠しているようです。
 ここに来た目的のひとつは、ハマナスがどのように群生するのか、そのメカニズムを探ろうということがありました。しかし、これだけびっしりハマナスで埋め尽くされていると、株の境目がはっきりしません。一株のその大きさもどこからどこまでなのやら。
 小清水、以久科原生花園に咲く花                                
エゾカワラマツバ (蝦夷河原松葉) アカネ科
 小清水
エゾノコウボウムギ(蝦夷弘法麦)
 カヤツリグサ科
  小清水
ハマニガナ浜苦菜) キク科  小清水
シロヨモギ(白蓬) キク科  小清水      ハマボウフウ(浜防風) セリ科  小清水
エゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)
 ナデシコ科
 小清水
 ナミキソウ(波来草) シソ科 小清水  ハマナス(浜茄子)ハマナシ(浜梨)
  バラ科
 小清水
ナワシロイチゴ(苗代苺) バラ科 小清水 ハマヒルガオ(浜昼顔) ヒルガオ科 小清水 ハマフウロ(浜風露) あるいはエゾフウロ(蝦夷風露) フウロソウ科 以久科
キタノコギリソウ(北鋸草) キク科 以久科  キタノコギリソウ(色ちがい)  ムシャリンドウ(武者竜胆) シソ科 
  以久科
  エゾノシシウド(蝦夷猪独活) セリ科 以久科     エゾスカシユリ(蝦夷透百合) ユリ科 以久科
エゾノシシウド(蝦夷猪独活) セリ科 
 以久科
 ミヤマラッキョウ(深山辣韮)?あるいはエゾネギ(蝦夷葱)? ユリ科 以久科  ヒロハクサフジ(広葉草藤)?あるいはただのクサフジか?

 人工的な庭園ばかり見慣れていた私としては、花園というにはほど遠い状況に若干のとまどいはありましたが、これが自然のままなのだという認識を得ました。花は植えられているのではなくただそこのあるわけです。従って私は花を探し回るという行動をしなければなりません。おそらくはたくさんの植物を見落としていたことでしょう。小清水と以久科は基本的にはほぼ同じ花が咲いていました。行動の制約を受けないという点で以久科の方が花に接近できました。季節ごとに訪れなければ本当の良さはわからないのだと思います。また、その年によって咲き方が違うことも考えられます。よそ者がただ見学に来ただけでは分からない何かがきっとあるように思います。
 このような自然は、なにがしか人が手を貸さなければ維持できないことがあります。旭川の突硝山にあるカタクリやエゾエンゴサクの群生も笹や下草を刈るという行為がなければ維持できません。小清水でも馬や牛の放牧をしなくなってから草、特に帰化植物の繁殖が目立つようになり、花園の美しさが失われてきたと言われています。現在では春に野焼きを行うことによって回復をはかっているようです。また濤沸湖周辺に馬の放牧を再開する動きもあるようです。小清水での野焼きに至った経緯については小清水町のホームページから伺うことができます。

濤沸湖周辺のヒオウギアヤメ 濤沸湖周辺はかつて馬や牛の放牧が行われていた

 以久科原生花園からの帰り、斜里町から見た斜里岳。かすんでいて残念。
 我がBBSを訪問してくれた麦さんの喫茶「麦わら帽子」です。小清水原生花園のすぐ近くにありました。このレストランの右側に素敵な庭があります。詳しく知りたい方はこちらから。

釧路湿原、恋問海岸へ行く
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2005.08.12UP


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