釧路湿原  〜恩根内ビジターセンター〜                     2005年7月17日(日)
 以久科原生花園に別れを告げ、釧路湿原へ向かうべく国道391号線を南へ下りました。ところが、弟子屈町に達して道に迷ってしまいました。気がつくと、いつの間にか道道53号線を走っているじゃありませんか。ここで地図をチェック、このまま湿原の西側に出られることがわかりそのまま進むことにしました。もともと標茶町から西側に廻るつもりだったのですが、こちらの方が成り行きとして自然な感じです。
 かくして恩根内ビジターセンターに到着。事前によく調べていなかったので、ここがどういうところなのかよく分かっていない。
 ここから湿原へ行くことができるようなので入ってみると、巨大なフキが生えています。どうやらアキタブキらしいことが後から分かりました。この下にコロボックルの何人かがいても不思議はないですよね〜。トトロが傘代わりに持っていたフキもこれかな?
 さらに中へ進んでみると、おお〜これがウワサの木道か!し、しかし見渡す限りのこの風景・・・花はどこ?考えてみれば小清水でもそうでした。これが、手つかずの自然というものなのでしょう。よく見ればぽつりぽつりと何かが咲いています。
 撮影できた花はわずかでしたが、なかなかバラエティに富んでいました。
 行けどもこの風景  ここはヨシで埋まっていました

 7月だったのでもっと花があるかと思いましたが、思ったより花は少ないように思いました。春の方が花数は多いのかもしれません。以下は撮影できたわずかな花達です。
バイケイソウ(梅形草) ユリ科  ドクゼリでしょうか?  アカバナ(赤花) アカバナ科
ヤマブキショウマ(山吹升麻) バラ科  エゾノシモツケソウ(蝦夷下野草) バラ科

ヒメカイウ(姫海芋) サトイモ科 クロバナロウゲ(黒花狼牙) バラ科  クロバナロウゲの実
カキツバタ(杜若) アヤメ科  ハンノキ(榛の木) カバノキ科 湿原唯一の樹木です
 釧路湿原  〜釧路市湿原展望台〜
 恩根内ブジターセンターから少し南に下がったところにある展望台です。なんか変な建物ではありますがここから湿原がよく見るかと思いきや・・・、なんじゃコリャ!建物自体がじゃまで湿原自体も遠くてよく分かりません。がっかり!
 案内板を見ると、ここからしばらく歩いたところに湿原が見渡せる展望台があるというので、行ってみることにしました。ここにも木道沿いに巨大なアキタブキ。直径1mくらいはありそうでした。足寄で有名なラワンブキもこの仲間だそうです。
 しかし、歩けど歩けどなかなか展望台に着きません。この日は釧路にしては気温が高く汗だくです。道すがら撮った植物を紹介しましょう。

 ミヤママタタビ(深山木天蓼)

  オオハナウド(大花独活)か? セリ科  2mはありそうです。
 やれやれ、やっと着きました。
しかし、大汗をかいてやってきた割にはやはり遠くてなんだか分かりません。隣にいた父さん、「ここはだめだなー、細岡展望台の方がよかったな、ここは川が見えない」 「え、それはどこですか?」と私。「ここの反対側だよ」 ガ〜ン!スポットは東側だったのだ。
 どうしよう、反対側まで行ったら暗くなるかもしれないなーとは思いながらも行ってみることにしました。
 釧路湿原  〜細岡展望台〜
 湿原横断道路を渡り、国道391号線を北へさかのぼります。このままじゃ標茶町へ着いてしまうのじゃないかと思われたころ、細岡へ入る道を発見。車もすれ違えないほどの細い道をのろのろ走ってやっと到着。いや〜ご覧の眺めです。
 細岡展望台から歩いて5分くらいで、釧路湿原駅に行くことができます。ログハウスの駅舎で釧路湿原の名物でもあります。これでもれっきとした釧網本線の駅ですが、小清水駅と同じく5月から9月までの季節限定ではあります。夏場は観光用列車「くしろ湿原ノロッコ号」も運転されているようです。
 この細岡展望台に至るまでの道のりからは釧路川や達古武湖を望むことができます。道路は非常に狭いので覚悟が必要です。
 道の途中にカヌーの停泊場がありました。釧路川の水に手を入れられるところまで接近です。   道ばたから釧路川を望む
 恋問海岸                                        2005年7月18日(月)
 17日は6時半頃宿に到着、しばし居酒屋で地元の魚をつつきながら釧路の夜を楽しみました。
 翌朝は9時頃に出発、国道38号線を海岸沿いに「道の駅 しらぬか恋問」を目指して走り続けました。目的地を前にすでに海岸にはハマナスの自生が続いています。すぐにでも降りて海辺へ行ってみたい衝動を抑えながらしばらく走ると、目的地が見えてきました。
 道の駅の駐車場に車を止めて海岸の方に向かってみるとなにやら、丸太に恋問海岸の文字とイカリが地面に立っていました。目の前には太平洋の波がざんぶりことうち寄せていました。
 浜に降りていくと砂浜から陸地の境目にかけて帯状にハマナスが連なっています。小清水や以久科に比べてその幅が狭いので砂浜と群生の境目がよく分かります。ここにも小清水などで見た草が生い茂っていましたが、これは何という草なのでしょう。
 他にもエゾスカシユリやハマフウロ、ハマボウフウがあり、エゾノシシウドらしきセリ科の植物が群生していました。
 そもそもこの旅はハマナスがどういうメカニズムで群生するのかを知りたいと思ったことから発していました。それが小清水や以久科で知ることはできませんでした。なぜなら、あまりハマナスがびっしりと埋め尽くされていて群落の端っこを見ることができなかったからです。
 しかし、ここではそんな様子がよく分かります。おおきな株とその周囲に中くらいの株や小さな株が点在しているのが分かります。ふつうハマナスは株から少し離れた地面からもシュートを出します。株の中心から外に向かって斜めに出てくるので種から出た子株と区別がつきます。しかしここでは大株のすぐそばに子株があるのではなく、かなり離れたところに独立して点在しています。これはきっと種で増えたものでしょう。そのときはそう思いこんでいました。
 今考えると、なぜこの子株の周囲を掘ってみなかったのかと悔やまれます。そうすれば周囲の株とのつながりが確認できたことでしょう。 
 エゾスカシユリ センダイハギ(先代萩)? マメ科
これしかありませんでした
これは何?ひょっとしてシレネ(フクロナデシコ)?だとするともともとあったものではないかもしれません。
 ハマボウフウ(浜防風)  キタノコギリソウ(北鋸草) エゾノコウボウムギ
 エゾノシシウドだと思います。ずいぶんたくさんありました。エゾニュウも見てみたかった。

 これで、道東のハマナスや海辺に咲く植物の旅は終わりです。それなりに満足してはいますが、何となく割り切れない気持ちも残りました。本当はこんなものではないはず、という思いもあるからです。恋問海岸にはおそらく2時間ほどいたと思います。しかしたったそれだけで何が分かるというのでしょう。そこに住んで毎日海辺へ出かけ小さなハマナスが生まれるところや、育っていくところを観察してみたい気がします。
 私としてはバラに興味を持ち、次に寒さに強いバラに興味を持ち、そしてハイブリッド・ルゴサにたどり着きました。ハイブリッド・ルゴサをいくつか育ててみて、他のバラにない傑出して優れた特徴とルゴサであるが故の欠点を持っていることに気がつきました。では、ロサ・ルゴサ(ハマナス)って何なのか?実は何も知らなかったのです。ハマナスを知るには生の状態のハマナスを見てみるしかない。そして、この旅を計画したわけですが、まあ結局は何も分からなかったというのが答えかもしれません。でも、納得のいく答えは出なくても自生のハマナスを見たことはハマナスへの認識を高めることの役に立ってはいます。もうひとつの収穫は海辺の野草達のおもしろさでした。海辺であるがゆえの特徴をそれぞれ備えています。考えてみればハマナスにもそれが備わっています。いずれ、「あんたがたルゴサ」にハマナスについて私なりに知り得たことを書こうかな。でも、いつになるやら。

  道東の旅、全行程の図

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