〜春から秋まで〜
2006突硝山

 7月は庭園、バラ園めぐりに出かけるのでいままでは山にきていませんでした。7月から秋までの期間は私にとってデッドゾーンだったのです。何もないと思っていた真夏は思ってもみない光景が待ちうけていました。

突硝山の夏 1                    7月15日
スイレン スイレン科
 スイレンが咲きました。こんな小さな池にスイレンがあるのはちょっと不思議です。誰かが植えたものなのでしょうか?コウホネにしてもカキツバタにしても出来すぎのような気もします。

 どうやらこのスイレンは園芸種のようです。
 池の周囲は草だらけですがその中にアカツメクサやヒメジョオン、オオハンゴンソウ、アメリカオニアザミ、オオマツヨイグサ、そしてクサフジなどが生えています。

クサフジ  マメ科
 同じマメ科のフジに花がよく似ています。フジは花が垂れ下がるのに大してクサフジは立ち上がります。つる性なのも同じですが所詮は木と草の違い、サイズが違います。
 花はオニユリに似ていますが、全体的にオニユリより小さいです。
オオウバユリ  ユリ科
 本日のメイン植物です。育つ途中までは何度も見ているのですが、咲いたところを見ることはなかなかありませんでした。
 この時期はバラや庭園植物が最盛期なのでつい他へいってしまうことが多く、今まで見逃してきました。この年は出会えて感激でした。

林立する様は森の中で威容を誇っています。
〜春から秋まで〜
オニシモツケ  バラ科
(鬼下野)
 シモツケソウ(下野草)は赤色ですが白い花が咲くものをオニシモツケといいます。なぜオニなのかというとはっきりはわかりませんがシモツケソウより大柄だというのがその理由のようです。
 またシモツケソウは本州中部以南の暖地に分布するのに対してオニシモツケは本州中部以北の寒冷地に分布します。葉はモミジ葉で長楕円のシモツケ(下野)とは区別されます。
 ナデシコ(Dianthus)の仲間だと思います。
昔からよく見ているように思うのですがいざ正しい名前を探してみるとわからないものです。
 地味ですが赤い花が少ない山の中では目立ってました。
オオイタドリ  タデ科
(虎杖)
 山の上り口の道路脇にたくさん生えています。国道脇などでも頻繁に見かけます。
 子供の頃は若いイタドリ茎を折って皮をむき食べたものです。水気がおおくてしゃりしゃりしています。ちょっと酸味があったと思います。
 イタドリの名は痛み止めの薬として使ったところから、「いたみとり」が訛って「イタドリ」になったという説があります。


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突硝山の春へ行ってみる


突硝山の夏 2                        8月 5日
また池の周囲です。

アメリカオニアザミ  キク科
(亜米利加鬼薊)

 図鑑で北海道にあるアザミを探してやっとこの名前に行き当たりました。なんといかつい名前でしょうか。名前だけでなくその体も強力なトゲで覆われています。アメリカの名を持ちますがヨーロッパ原産のようです。
 調べていて気がついたことですが、日本のアザミで北海道に自生するものはほとんどないのですね。
 写真などで比較してもノアザミなどよりもかなりとげとげしい感じです。オニアザミのように首をたらすでもなく、まさに外来種の雰囲気を持っています。

 ちなみに国の名前を持つアザミにドイツアザミがありますが、これもドイツ原産ではなく日本のノアザミから作った園芸種です。
 イタドリの茎は竹のように節があって中が空洞になっています。その空洞の中に虫がいて釣りのエサとして使いました。そのころはイタドリムシと呼んでいましたが正しい名前はなんと言うのでしょうね。
 「虎杖」という漢字は中国から渡来したもので、節が縞模様に見えトラの尻尾に似ていること、茎が硬くて杖に使えたところからついたというのですがね、う〜ん!

 イタドリは雌雄異株です。上と左の写真は雄花です。まだ完全に咲いていません。
山の中に入ります。

クルマユリ  ユリ科

 2006年は初めて見つける植物がたくさんありました。これもそのひとつ。コオニユリかと思いましたが茎の途中に輪生する葉からクルマユリとわかりました。
 クルマバツクバネソウやクルマバソウとはクルマ仲間ということですね。
 参考の為に雌花です。9月の撮影なのでこちらは花は終わってしまっています。
アレチヌスビトハギ ?
(荒地盗人萩) マメ科
 マメ科なのは見てわかりますが、はて確証はありません。ヌスビトハギというのもありますが、花がちょっと違います。
 さて、「盗人」とは人聞きの悪い名前を付けたものです。花後にマメ科特有の鞘ができますが、それが盗人がするつま先歩きをしたときの足跡に似ているからというのがその理由のようです。
 上とは別株の全体像です。この写真では葉の形がよく見えないのでなんともいえません。後で調べるときは基本を抑えた撮影をしなければなりませんね。
オオウバユリの実です。秋になると茶色の枯れて割れます。
 わかりそうでわからないキク科植物です。最初はカンチコウゾリナに似ていると思いましたが蕾の様子や葉の形が違います。
そう思ったのですが、やはり

カンチコウゾリナ  キク科
(寒地髪剃菜)
 コウゾリナの高山型といわれています。北海道では平地でも咲いています。
 葉や茎に剛毛が生えていて、この剛毛が服などに引っかかることからカミソリに見立てて「髪剃菜」という名になったとか。菜は食べられることを意味しています。 
 この写真だけでは剛毛があるかどうかはっきりわかりません。葉は細く交互についています。葉の縁はノコギリとまではいきませんが尖った部分が多数あります。
もう秋が近づいています

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 だんだん山に来る間隔が開いてきました。大きな目的だったオオウバユリを見ることも出来たし、山の中はもうあまり見るべきものはないと思ったこともありました。8月になると顔の周りを小さな虫がうるさくまわって手で払いのけながら歩きました。セミがうるさく鳴き続けています。実際、山の中は生い茂った木のために薄暗く見るべきものはほとんどありませんでした。今回は山の下の日当たりのいいところの植物ばかりです。

これもまるでわかりません。
 この写真ではなんだかわかりませんね。植物全体と葉っぱの写真が必要のようです。
 ウバユリは全国に分布していますがこのオオウバユリは本州の高地や北海道に多くあります。大きな違いはオオウバユリのほうが大きく花数も多いことです。花色は緑白色で花の形はテッポウユリに似ています。花びらの数は内側に3枚、外側に3枚の6枚です。

 ウバユリの名前の由来ですが、良家の子供に付けられる乳母は子供が立派に成長した頃には歯がなくなるという例えから、花が咲くときには葉がなくなるこの植物にウバの名を付けたということのようです。しかし、このオオウバユリを見る限り葉はしっかりとついています。

 さて、こちらはかなり全体がわかります。他の株を撮ったものも花が曲がっています。オカトラノオのような咲き方をする植物なのでしょうか?
*名前がわかりました。すみごんさん、ありがとう。

キンミズヒキ  バラ科
(金水引)
 葉を見るとイチゴの葉に似た三枚葉がバラ科を表しています。タデ科のミズヒキは赤色ですが、花のつき方が似ているということらしいです。
花のアップ。
タデ科のミズヒキは赤い花に見えるのはガクで4枚。キンミズヒキは黄色の花びらが5枚でガクも5枚です。
オオハンゴンソウ キク科
(大反魂草)
 日本の在来種にハンゴンソウがあります。それに対して大柄なのでオオがつき葉が似ていたのでハンゴンソウの名がつきましたが、これは北米原産の帰化植物でハンゴンソウとは別属です。
 元々は観賞用として明治に導入されたものですが、繁殖力が旺盛でこあっという間に日本全土に広がりました。セイタカアワダチソウなどとともによく見かける植物です。

 反魂の名前の由来はいくつかあるようですが、コレラが発生したときこの植物が下痢止めとして効いたことから、魂を呼び戻す草として反魂草の名がついたというのが最も有力な説です。
オオアワダチソウ キク科
(大泡立草)
 黄色い花穂をいくつも出して松の枝型になるところはセイタカアワダチソウとよく似ています。セイタカアワダチソウとの違いは、オオアワダチソウのほうが背が低くせいぜい150cmくらい、またセイタカアワダチソウは花穂の先端が尖っているのに対してオオアワダチソウは曲がっていることなどです。
 明治時代に観賞用として導入されたのはオオハンゴンソウやセイタカアワダチソウと同じですが繁殖力は他2種よりは強くなく、小さな群落を作って生き延びています。
 オオハンゴンソウとオオアワダチソウの群生です。
ヒヨドリバナ  キク科
(鵯花)
 フジバカマなどユーパトリウムの仲間です。葉が対性になっているのでヒヨドリバナと判断しました。同じ対性で葉がつくものにサワヒヨドリがありますが、ヒヨドリバナより背が低く湿ったところに生えることや、葉の形が違っているところから鑑別できます。
 ヒヨドリとは本来は鳥の鵯(ヒヨドリ)ではなく、花後の綿毛が火を起す材料として使われたことから、「火を取る花」が「ヒヨドリバナ」になったという説があります。

 ユーパトリウムの仲間は蝶の好きな匂いでも発しているのかよく群がっています。

 さてここからはまた不明植物のオンパレードです。植物の名前を調べることは楽しい作業ですが何せ時間がかかります。さらに植物というのは地域差のようなものがあって同じものでも微妙な違いがあるので、図鑑やネットでみても確証に到らないことがままあります。わかる方がいましたら教えてください。

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ヨツバヒヨドリ  キク科
(四葉鵯)
 ヨツバとつくのは葉が4〜5枚輪生するところからきています。3枚のこともあります。この写真ではわかりにくいところが残念です。ヒヨドリバナよりは大型で2mくらいになることもあります。
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